Updated: Oct 2, 2020
芸術の秋です!
9月中旬から10月初旬のロンドンは、様々なデザインイベントが目白押しです。日本からも多くのデザイナーの方がそのイベントを見にロンドンにいらっしゃる程です。季節的には日の長い6月頃がイギリスに来るのにいい季節ではあるのかもしれませんが、デザイナーなら確実にこの時期でしょう。
今回は、その数多いフェアの中でも最高峰と言う表現がふさわしい、PADというアートフェアに行った時の様子です。
場所は、ロンドンの一等地メイフェアの中心地にある、バークレースクエアの特設会場。
木々のアーチを通りながら、会場へと向かいます。
ここは、68のアートギャラリーさんが一箇所に集まり、美術館クラスの見張るような作品たちが展示されるフェア。
このフェアは元々パリで始まり、ロンドンは今年で13回目の開催。そのためか半数程がフランスのギャラリーで、それにロンドンのギャラリーが続き、後はイタリア、スイス他のヨーロッパ各地から、そしてアメリカや南アフリカのケープタウンのギャラリーも集います。ロンドンのギャラリーなら直接尋ねることができますが、これだけの遠方からも揃ったアートギャラリーの作品が一堂に見られる機会はそうそうありません。
アートギャラリーの作品というと、絵が中心に思われがちですが、そんなことはありません。
素晴らしいインテリアの作品を多く見て行くと、そこに使われているものは実はメーカーが作った”製品”ではなく、アーティストが作った”アート作品”が多く含まれていることに気づきます。
アートって、作り手の思いが、力強く表現されてそこにメッセージがあるように思うのです。
だからアートのある空間にいると、エネルギーを感じるのです。
職人芸の高さはもちろん、そのデザインのユニークさや佇まい。空気感が違うのです。
このクラスのフェアを見ていると、そう思わずにいられません。
斬新な出会いがたくさんありました。
ほんの少しですが、そんな様子をご紹介できればと思います。
(もっと空気感が伝わる表現ができればいいのに、、と今回はいつも以上に思ってしまいます)
まずは、入り口付近の様子。
今年4月のミラノデザインウィークでも訪ねたNilfarも出展していました。
この公園内に元々存在している樹齢数百年の樹木がそのままディスプレイに取り込まれています。
これらを”家具”や”照明”と言うより、アートと呼びたいですね。
”そうよ、私、アートなのよ”と声が聞こえそうです。笑
思わず足が止まったこのコーナー。
美し過ぎるパーテーション。どうやってこういうものを作れるのかしら。。
素材感のコントラストや、デザインのディテールに見入ってしまいます。
同じブース内の別のセッテイング。
エレガントで、ユニークで、どこを見ても面白く。。。
素晴らしいですね。
天井近くの照明も素敵な彩りで、アームチェアの後ろ姿も見逃せません。
20世紀のコンテンポラリーなデザインを扱うパリのギャラリー、Alexandre Biaggi
シンプルかつ美しく完成されたセッティング。
照明のシェードは、パーチメントいうレザーをつなぎ合わせて作られています。
古くから伝わる技術が新しいデザインと融合して、コンテンポラリーな作品になっています。
コンテンポラリーとは伝統に新しい風を加えたところにあるのだと感じます。
こちらはロンドンのギャラリー、Sarah Myerscough Gallery.
2019年3月にCollectというフェアで出会って以来、ファンになりました。
(Collectに行った時の記事はこちら)
自然素材が生かされた作品達にどこか和の雰囲気を感じ、親近感を覚えます。
このクラスの作品達を前にすると、あまりの素晴らしさにただ見惚れるばかりです。
職人さんやアーティストの高い技術に支えられ、手仕事を通し、心を込めて作られた作品達。
ここでは、様々な年代が揃っています。
ビンテージやアンティークという時を超えて生き残ったものから、最近作られた新しいものまで。
古いものは紀元前のものもありましたし、21世紀に作られたものもあります。
時を超えて、場所を超えて、それらが集って生まれた空間。
それぞれがユニークで、とても何スタイルというカテゴリーなどに入れられません。
とにかく個性的で面白いのです。
”アート”の持つ力、だと思うのです。
それが日々の暮らしで身近にあったらどんなにいいかしら。。
ここにあるものは美術館クラスの特別なアイテムなので、簡単に手に入れることはできないけれど、アートのある暮らし”と考えたら、実現しやすいかと思うのです。
例えば、自分が好きだと思ったアートをまずは生活に取り入れてみる。価格に関わらず、自分が好きだと感じるものを大切にした方がいいと思うのです。アートの語りかけに耳を傾けてみる。
どんな作家さんが、どのように作ったものなのかを知ること。そうすると作品が特別に思えますよね。作品に思わず話しかけたくなります。(家族に見られたら不思議がられるかもしれませんが。笑)
好きなものを大切にしながら、語り合いつつ共に暮らすこと。
そうすると、日々の生活はもっと豊かなものにもなれると思うのです。
実際は慌ただしくそんな余裕がない時もあるのですが、まずは私自身もそんな暮らしを心がけたいと思います。
またデザイナーとしてこうして一流のアートを身近に感じられる場所で、作品を観る目や感じる心も養っていきたいと思います。