地球の裏側から住まいづくり5)家づくりのためのパートナー探し




さて、「そもそも家を直す必要があるのか」という、迷いは吹っきれました。

新しいライフスタイルを実現するための「住まいづくり」へ向けて、心置きなく踏み出します。

2016年8月末〜9月上旬、私は2016年に入ってから2回目の帰国でした。

でも、目の前にある問題は同じです。

したいことはたくさんあるけれど、”予算が限られている”という状態です。

両親は、「予算が限られているんだから、建売とか選べる中から選べばいいじゃない」と言いだしました。

でも腑に落ちない私。

日本での家づくりの選択肢を調べたり、自分が今まで携わったいろんな国での家づくりの方法を振り返って考えました。

さて、この”コスト”を考えた時、よく聞くのは、”どこが安いか、高いか?”という話です。

建築家やデザイナーに頼むと高い、、というのはよく聞く話です。でも、そうなんでしょうか。

オーダーで家をつくると、基本的にはその都度施主の意向を反映して部材を選んだりします。すると高くなりそうですが、全てにおいて高いものを使う必要はないのです。お金をかけるところ、節約するところを分ける。そうすれば、叶えられることはいろいろあります。

つまり、限られたコストで作りたい家をつくるには、お金の使い方(コストの配分方法)を工夫すればいいのです。

もちろん家づくりなので、それなりにコストはかかります。でもお金をかけた家が必ずしも”いい家”とは限りません。かけなくても”いい家”はたくさんあるのです。

その際に一番大切なのは、”自分たちがどういう家を作りたいか” ”どういう暮らしをしたいのか”ということでしょう。

私がイギリスで関わる住宅のインテリアデザインの進め方もそうなのです。

クライエントの希望に優先順位をつけて、高いものから叶える。それをそのまま叶えることがコストやスケジュールの関係で難しい場合、それに対し代替案を見つけて、最終的に満足できる形にする。

手間のかかることです。でも、デザイナーは施主の代理人でもあります。プロの知識、経験、ネットワークを駆使して、限られた予算を上手に使いコストパフォーマンスのいい住まいづくりのお手伝いをします。

よく家は「人生で最大のお買い物」と言われます。でも、本当は住む人それぞれが違うのだから、家は買うものではなく創るものであるべきだと思うのです。

だから、建築家やデザイナーは「家を売る人」ではなく、施主と一緒に家を創り上げていく、いわば「家づくりのパートナー」なのです。

なので、商品代金ではなく、「デザイナーとしてのフィー」を頂戴して最終的に満足度の高いものを作り上げるお手伝いをします。

他の国での経験を得て新しいアイデアが浮かんだのはあります。日本のプロジェクトに関わるのは数年ぶりですが、インテリアデザイナーとして、自らいろいろ動いて調べて、コストパフォーマンスのいい家づくりをしよう!と思いました。

私はこの実家の家づくりにおいては、「施主家族、兼インテリアデザイナー」として、全面的に関わりました。でも、構造や現場については建築家という専門家が必要ですし、実際の工事の監理もお願いする必要があります。

この重要な部分を誰に頼もうか。。

リサーチの結果、うちのエリア、規模、予算に合いそうな建築家、4名と会ってみることにしました。それぞれの方には必要な情報を予め伝えておきました。

  • この家はこれから70代になる両親の終の棲家であること。

  • 娘の私はインテリアデザイナーとしてイギリスに住んでいること。施主兼インテリアデザイナーとして全体のデザインに関わること。

  • 両親がどのような人でどのように暮らしたいのか。

  • 住まいづくりへの想い。

結論から言うと、このお見合い経験は、とても実り多く、学びも多い経験でした。

それは施主としても、インテリアデザイナーとしても。

私がここで施主として思う事は、私がインテリアデザイナーとしてお客様から思われることでしょうし、

自分が施主として建築家を選ばなくてはいけないように、自分もインテリアデザイナーとしてお客様から選ばれる立場にある、ということなのです。

何気ないことでも、実際に自分でするとなると、とても考えることばかりです。

もちろんお会いした方全ての方は、一級建築士で、ご経験も豊富な方々です。

逆にどのように選んだらいいのかがわからず、設計事務所に勤める一級建築士の友人に何度となく相談したくらいです。

ある方は、有名な人に…と、

ある方は、過去の作品が好きだから…と、

ある方は、話してくれて感じがいいから…と、選ぶのかもしれません。

とても難しい選択でした。これで家づくりの半分くらいが決まるのではないかと思ったりもしました。

実際に、家作りの方向性を考える上では、これはとても大きな選択だと思います。

信頼できる方に会えれば、後は要望をきちんと伝えていけばいいのです。言い換えれば、”どんな人が自分の家を作ってくれるのか”をきちんと見て頼むことが重要だと思います。

時間をかけ、いろいろ考えた結果、世田谷にある大倉建築設計事務所の大倉さんにお願いすることにしました。

うちの場合の決め手は、

「うちのケースに対するアプローチ」と「両親共にその方と話しやすいか」という観点でした。

その方を訪ねた時、単に家を「住むところ」という箱としてだけでなく、「地域とのつながり」という点で見て下さっていることも嬉しかったです。両親は直に70代になり、この家は終の棲家になります。「かっこいい家」であるよりも、ご近所さんと助け合い、両親が元気に楽しく暮らして行ける家が一番なわけです。

それと、そういう「終の棲家」である家づくりに対し、偶然建築家の大倉さんが両親と同じ年であったこともあり、そこにリアリティを持って、考えて下さったということもあります。

後は、両親ともに、話しやすいということが決め手でした。

住まいづくりは、人生のいろいろな事が絡んでいると思います。

家族がこれから多くの時間を過ごす場所です。

間取りやインテリアで家族の過ごし方やコミュニケーションの形も変わってくることでしょう。

過去とこれからをつなぐ場所でもあるのです。

2つとして同じ家族などおらず、それぞれの個性を生かした住まいづくりには、表面的なことだけではない、深い理解とそこに至るまでのコミュニケーションが必要だと思うのです。あとは価値観を共有して、同じ方向を向いて進んでいけるかでしょうか。

するとやはり「話しやすさ」は大切なことで、やっぱり「パートナー探し」になるわけです。

多くの施主に、多くの家づくりのプロがいます。お隣さんにぴったりの建築家がうちにぴったりかはわかりません。それぞれの個性を見て、自分たちに合う人にお願いする。”自分たち”をまず知らないといけませんが、それが一番大切だと思います。

家づくりのパートナーが決まったところで、やっとおうちのお話に入れそうです。

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