18世紀デザイン巨匠達による豪華なお屋敷:Harewood House


趣味のお屋敷巡り。今年のテーマは”ネオクラシシズム”から始まって”パラディアン”に広がりつつあります。少し前になりますが、イギリス北部Leedsにあるヘアウッド・ハウス(Harewood House)に行きました。


ここはパラディアン様式の建築家のジョン·カー(John Carr)、ネオクラシカル建築のロバート·アダム(Robert Adam)、家具職人トーマス·チッペンデール(Tomas Chippendale)、という18世紀の超豪華な顔ぶれが関わっているお屋敷!それと現在のエリザベス女王の叔母にあたるメアリー王女の嫁ぎ先でもあることでも知られています。



前から気になっていたものの、ロンドンから3-4時間かかるので、1泊旅行のチャンスを狙っておりました。

今回はそのヘアウッド・ハウスを訪ねた時のお話です。



さて、このヘアウッド・ハウスのスタートは、ヘンリー·ラッセルズという政治家が1738年に土地を購入したところから始まりました。


ヘンリーは貴族ではありませんでしたが、バルバドスの農園経営で莫大な富を築きました。そこで生まれた長男エドウィンには自分にはできなかったグランドツアーの機会も与えます。


グランドツアーは当時の貴族子女に一般的なヨーロッパ大陸での遊学です。18世紀頃のお屋敷巡りをしていると、オーナーもしくはデザインした建築家がグランドツアーの経験者であることが多いようです。今風に言うと、海外生活で得たインスピレーションを家づくりに生かす、という感じでしょうか。


跡を継いだ彼の長男エドウィンはヘアウッド伯爵として貴族に名を連ねました。その記念に建てたのがこのお屋敷です。18世紀中頃(1759~1771年)のことでした。当時大人気の建築家とデザイナーを起用し、グランドツアーでのインスピレーションも多く取り入れ、贅の限りを尽くしてこのお屋敷を建てました。グレード1リスティングという重要な保護建築で、現在もラッセルズ家の所有です。


ここはロバート·アダムによるインテリアと、家具職人トーマス·チッペンデールの家具がとても良い状態で残されていて、見所が多いお屋敷なのです。


3代目のヘアウッド伯爵の時代19世紀に作られたフォーマル・テラス・ガーデン。お屋敷建設当初(18世紀)のケイパビリティブラウンの自然派庭園とは違う雰囲気が楽しめます。

3つあるライブラリーの中で一番古いライブラリー。さっそくロバート·アダムの素敵なインテリアが楽しめます。



下の写真は、上のお部屋の豪華な天井。

見上げ過ぎて首が痛くなるけれど、みとれてしまいます。


天井の図面も残っています。(写真の部分とはリンクしていないのですが)


上品な色使いが素敵なメインライブラリー。

やはり天井が素晴らしい。






上の写真はロバート·アダムがデザインした天井。品良い色使いと繊細な模様がとても素敵です。今見ても新鮮です。

上2枚の写真はウェブサイトから借りています。写真をクリックするとジャンプします。

サイトには素敵な写真や調度品の説明があり、参考になります。




次は”State Bedroom"。この時代のお屋敷に多く作られたVIP専用のベッドルーム。実際はあまり使われることがなかったそうですが、このお部屋にはなんと当時王女だったヴィクトリア女王もお泊りになったそう。ため息が出そうな、お部屋ですね。


左側にあるミラー、アームチェア、キャビネットはチッペンデールによる家具。




お部屋に負けず豪華な天井は、もちろん?ロバート·アダムのデザイン。


ギャラリーのシーリングもロバート·アダムのデザイン。ジョージアン時代のマスターピースと言われているそうです。



ロバート·アダムの当時のデザインが一番良く残っているミュージックルームでは、壁、天井、カーペットに調度品がオリジナル。


バレーシューズはこの時だけの展示ですが、天井の円形のデザインと合わせて、踊るようなリズムが聞こえてきそうです。




バレーシューズが踊るテーブルは、チッペンデールの作品。

ステイタスのシンボルという役割も多分にあるのだと思いますが、さすがに当時の超一流職人による贅を尽くした内装はお見事です。ほんの一部しか紹介できていませんが、ロバート·アダムと、トーマス·チッペンデールを堪能できること間違いないと思います。


こんな豪華絢爛なお屋敷の中で、私が一番気に入ったのは、このエクレクティックなお部屋。

20世紀の素敵なオブジェが集まったお部屋では、現在の伯爵夫妻のプライベートコレクションも見られます。日本の屏風もあり嬉しくなりました。ロバート·アダムがデザインした天井、暖炉、ドアに、20世紀の芸術品が見事に調和して、エクレクティックで居心地の良いお部屋になっています。

お屋敷の豪華な”見せるインテリア”も素晴らしいですが、こういうインテリアがやはり心落ち着きますね。このお屋敷にこのようなお部屋があるのも、住まう方の素顔が垣間見えるようで興味深かったです。


(写真はウェブサイトより引用しています。写真をクリックするとジャンプします)

コンテンポラリーアートが違和感なく収まっています。



結婚祝いとして送られたという日本の屏風。イギリスのお屋敷で思いがけず同郷?に出会えて嬉しくなりました。


とにかく見所満載のお屋敷なのですが、お庭も素晴らしいのです。

ガーデンデザイナー、ケーパビリティ·ブラウンによる見事な庭園。


このケーパビリティ·ブラウン、いろいろなお屋敷を巡る中で彼の名前は良く出てくるので覚えました。手がけた庭園は170以上!さすがです。本名はランスロット·ブラウンですが、このケーパビリティ·ブラウンという名前の由来は、彼がクライエントに ”この土地はもっと素晴らしい庭園になる将来性(ケイパビリティ)がある”と言い続けたところから来ているそう。


広すぎるお庭は回りきれずですが、庭園のことも理解を深めてまた出直したいと思います。



ケーパビリティ·ブラウンの意向との関係はわかりませんが、この広大な敷地内には多くの鳥類や動物たちがいます。



ピンクフラミンゴもいました!



なんとペンギンまでいます!

水槽にジャンプして欲しかったのですが、、それは次回来たときかしら。

この日はあいにくのお天気だったのでお屋敷を中心に見て次の場所に移りましたが、家族連れなら1日楽しめる場所だと思いました。


いくつものお屋敷を回って感じることですが、お屋敷の維持はコストもかかり、とても大変だと感じます。


過去の素晴らしいものをただ見せるだけではなく、それを現在にどう伝えつないでいくか。

この場所は、この地域にとっても貴重な歴史的財産でもあり、立派な観光地でもあるでしょう。ぜひこれからもこの素晴らしい場所が残り、その魅力が多くの人に伝わっていくことを願っています。


一度では見切れない素晴らしい場所でした。私もさらに調べて尋ねて、理解を深めていきたいと思います。

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#ネオクラシカル建築とパラディアン建築を巡る旅

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