ソフトファニシング工房見学 工房編
いよいよ前回紹介したショップに併設している、ソフトファニシング工房内部に入ってきました!
(こちらは普段は公開されていない場所なのです。ワクワク。)
実はここはショップで売られている家具以外にも、別注文でホテル、レストラン、個人邸宅など、様々なところから様々なお仕事の依頼がくるそうです。
ここでは、下記のような多くの作業が、British Craftmanshipによって行われています。
アポストリー:イスの張り替え
アンティーク レストレーション:木部補強、修復などによる補修
フレンチポリッシング:シミ抜き、研磨、塗装による補修
グラインディングワーク:ゴールドやシルバーを貼るデコレーション
キャニング&ラッシュワーク:籐、い草の補修
さすが、アートアンドクラフト運動の発祥国!!聞いただけでは???というテクニックばかり。
さっそく進んで行きましょう。
さて、入口でお出迎えしてくれたのは…
張り替えを待つアームチェア達。
ちなみに左側の革張りは、本体の革はいい味なので、アーム部分のみの張り替えと色合わせになるそうです。
こちら、何とも豪華なソファです。
こんな風に、熟練の職人さんが全て手作業で仕上げて行きます。こうしてまた数十年と使われて行くんですね。
アポストリーのクラスで最初のイスを仕上げた時、タイムカプセルではないけれど次にこのイスを空ける人にお手紙を忍ばせておこうかと思った私です。
こちら、奥は張り替え途中のダイニングチェア。手前は完成品。
伝統的な方法で張り替えられているので、タッカー(ホチキスのようなもの)や接着剤は使わずにクギやステッチでつながれて行きます。クッション材に使われているのは動物の毛でしょう。
アポストリーを習っている私には、この部分が一番興味津々でした。やっぱりサイドのブラインドステッチがとても美しい!ここはとても難しい部分なのです。(←アポストリー話はまた今度!)
後ろに佇むこのイスは、全てを剥がされた木枠で、クギの後が伝統的なアポストリーで仕上げられた証拠です。クギの傷跡がイスの歴史を物語ります。
これまた後ろにいたのは、一番最後に仕上げられるファブリックとトリムを待つ、バルーンバックチェア(ちゃん、と呼びたくなりました)。ビィクトリアン時代のイスでおそらく100歳以上でしょう。どんな気持ちかしら?わくわく。
さて、場所は移ります。
こちらは、レストレーションをするコーナーで、この道40年!のベテラン職人さんの持ち場です。割れた木部の補修、欠けた部分の補修など、後ろの道具が物語る技術の宝庫です。
ここは木部に塗装をして、本来の輝きを取り戻す場所です。
お化粧部屋、という感じでしょうか。
塗装したてなのでピカピカですが、少しずつ落ち着いた色味になります。
こちらは、グラインディングワークという、ゴールドやシルバーを貼るデコレーションです。
空気より軽い?金箔を見事な手さばきでフレームに貼付けて行きます。
アンティークに輝きを重ねる素敵な場所です。
まだまだいろんな作業がたくさん行われていたのですが、知る程に奥の深い工房でした。
時を越えて生き続ける家具は、こんな風に多くの職人さんの技術によって支えられていたんですね。
手を加え、思いを重ね、ものを大切に受け継いでいく。
それは私がこの国の暮らしの中で日々素晴らしいと思う文化なのです。
日本ではまだ新しいものばかりが主流ですが、時を重ねるというのは素敵なことですね。
私も家具達のように味わい深く時を重ねていきたいなぁ。