パリの思い出2019年9月 メゾンエオブジェ編 

Updated: Nov 2, 2020

9月7日、8日の週末でパリに行って来ました。年に2回開かれるインテリアの展示会"メゾンエオブジェ"を見にいくためです。

メゾンエオブジェは、その名の通り”家”に関するものが展示されるプロ向け展示会です。来場者の多くはお店のバイヤーやデザイナーさんなど。

私が展示会に行く目的は主にトレンドチェックと新しいサプライヤーの開拓です。ここにはヨーロッパのサプライヤーが多く、ロンドンにはショールームがない場合も多いです。なのでここで実物をチェックしたり、新しいサプライヤー情報を得たりしています。

慌ただしいパリの旅でしたが、今回はその思い出を綴りたいと思います。

まずは前半は展示会の様子から。

早朝のユーロスターでパリへ向かい、お供の小さなスーツケースを引き下げたまま会場へ向かいます。

会場前にはこんなブランコが。童心に還ってゆらゆら揺れながらサンドイッチをかじります。そして会場へ。

会場の全体図はこちら。家具、照明、ファブリック類、装飾小物など家に関わるものの他に、ファッションアイテム、ギフト、フランスらしくフレグランスまであります。

今年はいつもより会場が一つ少なくなって規模が小さくなった気がします。

最近は展示会に出展しないサプライヤーも増えて来たと聞きます。

今までヨーロッパという一つのマーケットを強く感じていましたが、間もなく訪れるBrexitはどう影響するのでしょうか。。

まずはハイエンド商材が並ぶエリアからスタート。

入ってすぐに目に止まるのは、メゾンエオブジェの”Designer of the year” に選ばれた フランス人デザイナー Laura Gonzalez デザインのブースとカフェです。

今年らしい色合いですね。

カラフルでポップで、かわいいけれどスタイリッシュ。私好みだなぁ。。

元気をもらえるデザインですね。

ここ数年は毎回来ているので、知っているサプライヤーが増えてきました。

最近使ったフランスのサプライヤーが最前列に来ていました。パリ市内にショールームもあるこのサプライヤー、洗練された雰囲気と落ち着きあるデザインが魅力です。

この展示会では各サプライヤーのコーディネートもとても参考になります。下の写真はコンソールの足がなんと、、、メガネ?!ユニークですね。

ピンク、マスタード、ワインレッド、ネイビーと大人な雰囲気です。またモノトーンも良く見かけました。質感あるファブリックが張られた椅子たちは、座ると優しく包み込んでくれます。

明るいけれど落ち着いた色が、空間に彩りを添えています。

色の効果は大きいですね。元気をもらえます。

さらに進むと、今度はナチュラルな素材が目立ちます。流木のような質感を残した木や竹、リネンなど。自然を感じられるインテリアですね。

リネンは肌触りがいいだけでなく、使用後は環境に害無く分解されるエコ素材でもあります。最近のセミナーでインテリアが地球環境に与える影響がとても大きいと再認識こともあり、つい気になってしまいます。これからは見た目がいいだけでなく、環境に優しいインテリアを心がけたいですね。

まるでどこか違う世界に旅行に来た気分です。

歩き疲れて近くの椅子に座りながらディスプレイを眺めていると、リラックスできて少しずつエネルギーをもらえます。

さて、今年のメゾンエブジェのテーマは”WORK!”でした。

テーマに関連したエリアでは、アイテムの展示だけでなく、新しいワーク環境の提案もあります。

IT技術の発展で働き方が多様になり、それに伴いオープンオフィスやシェアオフィスも現れて久しいように感じます。

私もロンドンに来てから、様々なオフィスを見て来ました。大きなオフィスから少人数のSOHOまで。特に私はフリーのインテリアデザイナーということもあり、いろいろなタイプが見られたと思います。特にインテリアデザインオフィスはクライエントが訪れることも意識してそれ自体が一つの作品にもなることもあり、個性的なオフィスも多く、訪れる度に勉強になります。

またイギリスでは働き方も多様ですね。もちろん職種によりますが、オフィスワーカーでも必ずしもオフィスに行かないことも多いです。在宅勤務やその他の場所から働くこともあり、働く場所は様々に増えているようです。ノマドワーカーも日常の風景になってきましたね。

思えば私もノマドワーカーだったりします。フリーデスクのシェアオフィスを使っていた時もあるのですが、サンプルや資料の置き場所も必要で、また打ち合わせでの外出も多い私には合わなかったようで、とりあえず自宅一人オフィスに戻りました。でも、活気のある環境は良かったので、またどこか借りたいなぁと思ったりしています。

その経験もあり、この展示は興味深かったです。自宅のような快適さを合わせたオフィスも増え、Homeとの垣根が低くなっているように感じました。その分メリハリのつけ方が難しい時もあるのですが、仕事はやはり生活の大きな部分を占めるので快適に働けることは大切だと思います。

私自身、今はロンドンからの仕事が主ですが、今後は日本の仕事ももっと増やしたいなぁ。

世界各地の新しい働き方、働く環境をテーマにしたセミナーもあったので、聞いてきました。

以前の一人一人が固定デスクで仕事をしていた頃に比べると、今は作業はオープンデスクで行われることが増えました。内容によってはプライバシーも必要です。音声が外に漏れない電話ボックスのようなブースもあるそうです。固定デスクが少なくなり、オフィス内の様々な場所で働くようになったことで、人の動きがより活発になったそう。結果的に人々の部署や組織を超えたコミュニケーションが増えているそうです。

立ったままでも作業できるデスク。デスクとスツールの高さは調整できます。

座りっぱなしの作業は体に負担がかかります。快適なオフィスチェアも多くありますが、こういうスタイルもひとつの解決策ですね。

シェアオフィスを使っていた時は、他業種の人々とキッチンで交わした挨拶がきっかけで新しいコラボレーションが生まれたりと、刺激的なことが多々ありました。

オフィスに求められるものも多様になっているようで、その方向性としては、既存の無機質なオフィスから一変し、カラフルで明るく、仕事以外のアクティビティができる場所も生まれています。

オフィスとホームの垣根が低くなっているんですね。

オフィス内のヨガスペース?仮眠もできそうです。笑

もう一つ、オフィスに加わった大切な要素が ”FUN” 楽しいこと。

仕事で楽しいなんで、不真面目な、、、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、楽しいからこそ生産性や効率も高まり、また創造性も高まると思うのです。仕事とプライベートが密接に入り組むからこそ、無理がなく楽しくできることも大切な要素になっているのだと感じました。

リラックスもできる多目的スペース。まるで自宅のように寛げますね。

ふと”仕事”について考えたとき、実はそれは多様な意味を含んでいるように感じます。

例えば勉強。キャリアアップのために学ぶことや、家庭の事情でキャリアから一度距離を置いて家族のために時間を使うことも、それだって立派な仕事に含まれるように思うのです。キャリアアップのために勉強している方にも多く出会いました。もちろん生活のために収入は必要なので、そのためには計画と準備が必要ですが、仕事としてアウトプットをし続けるには、やはりインプットは必要だと思うのです。ブレイクを取って自分を見つめ直すことがあってもいいと思います。

かくいう私も30代になってから海外でカレッジに戻りました。もしかして自分が一番年上かと思ったら全然そんなことはなく、むしろ年と経験を重ねたからこそそれぞれの視点で学べることがあるのだと思いました。

イギリスでは仕事が変わったり途切れることが普通にあります。でも長い目で見たらそれも人生の一コマです。海外で多様な”仕事”をしている人に出会い、私の中の”仕事”に対する考えもだいぶ柔軟になった気がします。

WORK(仕事)とは、お金のためにする活動、であるというのが一般的な考え方です。でもそれだけではなく、人とその周りの環境をつなぐ存在でもあり、生きることを支えている活動でもあります。広く考えると、人々のために何かすること(ボランティア、家事を含む)、自分の目標に向かっての活動(勉強)だって認められるべきWORKであると思うのです。

そう考えると WORKとは様々な形で皆に一生関わるもの、のように感じます。

そのために多様な生き方や働く環境、無理のない仕事との付き合い方が求められていると感じました。

さて、せっかくパリに来たので2日目は街に出ることにしました。

その様子は次回の街歩き編へ続きます。

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