世界で一つの、オリジナルチェアができるまで
この数か月、東京に滞在しています。
コロナの間は多くのメーカーさんや職人さんも活動が止まったりゆっくりになっていたので、プロジェクトの進行も遅れていましたが、ようやく少しずつ動き出してきました。
そんな中で、今年3月にオーダーしておいたダイニングチェアが完成!それは既存のものからサイズも調整し、張地も選んだビスポークアイテム。(オーダーして作ったオリジナルのことをビスポークと言います)メーカーの方が発送前に確認用の画像を送ってくれました。それがあまりに素敵過ぎて感動!したので、今日はそのビスポークチェアができるまでのお話をご紹介します!
家具の中でも欠かせないアイテムのイス。背、足、と人の体のような名前も持ち、歴史的にはそのデザインにより座る人も選ぶという、まるで人間そのもののような家具です。
イスを選ぶ、って難しいですね。
予めいくつか候補を定めておいてから、ショールームに実物を確認に行きました。
実際に見て触って、座ってみて、、、結局違うイスに決めました。笑
もちろんこれで終わりではありません。
単にイスの「デザイン」を決めただけなので、色や細かいサイズはこれからです!
空間全体のインテリアコーディネート、カーテン生地、家具の色は決まっていて、張地の候補も決まっていましたが、それを再確認。
張地の種類だって、「〇色から選べます」という選択肢ではなくて、イス張地用の生地から選べるので、選択肢は数え切れません!
そんな中からどうやって選ぶの??
と思われますが、目指すインテリアを形にするために、生地の素材感、色合いと見ていくと、運命の生地が見つかるのです!
今回の前回のデザインはお見せできないのですが、エレガントで落ち着いた空間です。全体の色は淡く、カーテンはこの生地。
印象派画家のモネの「睡蓮」の絵のようなイメージで生地を探していた時に、このカーテン生地に出会ったのでした。
イス張地は下の写真のように、淡いベルベットのグレー、パイピングという縁にはカーテン生地にも少し含まれているワインレッドのような色を選びました。
さらにイスの張地選びのポイントは後ろ姿!後ろ側だけに違うファブリックを使いました。カーテン生地が水色で自然をモチーフにしたかったので、こちらは水面に広がる波紋の感じです。
ふぅ。やっと生地が決まった!
淡いグラデーションで、とても上品な雰囲気になりそう。
このイスはオーダーしてから制作に入るので、サイズの調整も可能です。日本人が海外でイスを買う場合に注意すべきなのが、イスの高さです。座面高さは日本だと40㎝くらいが多いですが、イギリスではそれより高く、このイスは元々46㎝でした。それをお客様に靴を脱いで座ってもらい、テーブルとのバランスも見て、座面を数センチ低くすることにしました。
ダイニングチェアの場合は、ダイニングテーブル高さとの関係もあるので、合わせてチェックした方がいいですね。
これでイス選びは完了!
思ったよりも時間がかかりましたが、お客様も大満足のイスになって、来てよかったです!
仕上がりが楽しみです♪♪
これは3月初めのことでした。
ここからコロナで大変なことになり、通常8週間の納期がだいぶ延びましたが、7月初旬にようやくイスができました!
今回はアーム無しとアーム有の2種類があります。
ビスポークでひとつずつ選んだ分だけ、思い入れは特別です。
世界に2つとない自分だけのデザイン。
インテリアアイテムは、買うモノではなく創るもの、なんですね。
好きなファブリックを選んでから、それを張るイスを選ぶ、それもいいと思います。
そんなアイテムが入ってこそ、空間にも自然と馴染み、愛着も持てる、世界で一つの自分らしいインテリアになるのだと改めて思いました。
今回のイスと同じ形で、張地の違うイスもメーカーのウェブサイトに出ています。張地が変わると雰囲気も変わりますね。
余談ですが、数年前にイスの張り替え「アポストリー」を習っていた私。イスへの理解を深めたいというのが動機でしたが、すっかりハマり、家じゅうがイスだらけで場所がなくなったので(笑)、今はお休みしています。
そんな経緯もあって、イス張地には思い入れも強いかもしれません。
以前ソフトファニシングのショップ&工房へ見学に行った際の記事もありますので、ご参考にどうぞ。
ソフトファニシング工房見学 ショップ編 (こちら) では、ファブリックで彩られた様々なアポストリーの世界をご紹介しています。
ソフトファニシング工房見学 工房編 (こちら)では、普段見られない職人の舞台裏をご紹介しています。これを見るとイスの見方が変わるかもしれません。
個性豊かなイスたち、いいですね。
家族それぞれが自分の好きな生地で自分のイスを彩る、なんていうのも素敵だと思います。
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