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モネの描いた風景を巡る、ノルマンディーの旅

“まるで印象派の絵画のようだね。”

昔、夏のコッツウォルズの庭園で撮った写真を、友人に見せた時の一言です。

日本で美術館のキュレーターだった友人らしい形容詞でしたが、

恥ずかしながら、当時の私は“印象派の絵画”と言われてもあまりピンと来ませんでした。

ただコッツウォルズの澄み渡る青空に、白くぽわぽわと浮かぶ雲、黄緑に近いような芝生の色に、彩りを添える花々の様子は鮮明に覚えていたので、“そうか印象派の絵画は、きっとそんな景色なんだろう”と思ったものです。

今回はそんな“印象派の絵画のよう”ではなく、本当に“印象派の絵画”の舞台になった景色を見るべく、インテリアの展示会でパリを訪れた際に、ついでにノルマンディーへ足を伸ばすことにしました。

きっかけは2018年7月に行った、終了間際の“Monet & Architecture”というナショナルギャラリーでの企画展。

印象派の絵画は好きですが、全然詳しくありません。

初めてパリのオルセー美術館を訪ねた時に、感動を受けて好きになったくらいです。

ただ今年(2018年)1月のインテリア展示会で見た新作ファブリックにも、印象派の絵画からインスピレーションを受けたというものが結構あったり、世界各地の大きな美術館の企画展はその頃の流行りを表しているとも聞いたことがあり、展示会のタイトルに惹かれて、終了間際にぶらりと足を伸ばしてみました。

でも、そのモネの描くノルマンディーの風景、同じ景色でも時間と光で変わる絵画たちにすっかり感動。

ぜひその風景をこの目で見て、光と風を感じたくなってしまったのでした。

展示会で見たいくつかの絵たち。(館内は撮影禁止だったので、オンラインからの転用です)

(Source: https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/claude-monet-the-water-lily-pond)

実際は何枚も存在するというこの”睡蓮”。1枚はナショナルギャラリーの常設展示にあります。

(Source: https://www.claude-monet.com/images/paintings/rouen_cathedral.jpg)

ノルマンディーの中世教会建築にインスピレーションを受けたアーティストは多いと聞きます。

(Source: https://www.claude-monet.com/images/paintings/the-cliff-at-etretat-sunset.jpg)

前置きが長くなりましたね。。笑

というわけで、今回はインテリアの展示会の帰りに、ノルマンディーへ足を伸ばしたプチ旅の思い出です。

最初の目的地は、パリから車で約1時間。

ジベルニー(Giveny)という街に、モネが亡くなる前の40年程住んでいた自邸があります。

あの有名な“睡蓮”の舞台になった庭園もあります。この庭園はモネ自身が設計したそうで、広い庭に多くの花々が咲き乱れ、まるで“モネの絵に入り込んだ”かのような庭園です。

日本語サイトはこちら

あの睡蓮の絵の舞台になった池と橋。

目にする場所全てがまるでモネの絵画のよう。

光と共に移り変わる、同じようでいて2つとない景色。

まさしく何時間でも飽きずに、いつまでも眺めていたい、そんな場所でした。

庭園をじっくり楽しんだ後は、モネのアトリエもある自邸へ。

家の色合いがとても素敵です。

モネの庭園に溶け込んでみました。笑

家に入るなり圧倒されたのは、壁中にかかるその浮世絵版画の数々!

なぜか嬉しくなってしまいます。最初にモネが日本の版画を買ったのはオランダだと書いてありました。彼の目にはこれらの遠い国はどのように映っていたのか、どのようにモネが影響を受けたのか、さらにいろいろ知りたくなりました。

家の中は撮影禁止だったのですが、様子がこちらの日本語のサイトで垣間見られます。

家を出ると、さっきまで曇っていた空が晴れている!

すると、花々がその光を受けて、さっきより色濃く、景色も違って見えるのです。

一度見た庭園ですが、また見たくなってしまって、睡蓮の池へもう一度。笑

やっぱり青空はいいですね。

こんな自由気ままさが個人旅行の醍醐味。笑

展示会で、モネはいくつもの絵を同時進行で描いていた、とありました。

特定の光の元で描くために、一度にその絵に向き合う時間は短かったそうです。

光と共に違う表情を見せる花々を眺めていたら、そのことの意味がわかる気がしました。

このお庭はずっと見ていたいですが、今度はまた別の季節にも来ようと心に誓って、次の場所へ。

この家の近くには、モネと家族のお墓もあります。

即席の墓マイラーになって、近くの教会を訪ねました。

こちらがモネのお墓のある教会

庭園のような草花が生い茂るのが、モネとその家族が眠るお墓。

大好きな街の、光と風に包まれて、家族と共に安らかな眠りについていることでしょう。

次はセーヌ川の大聖堂が美しい街、ルーアン(Rouen)へ。

最初に目に飛び込むのは、モネの絵にも描かれたルーアン大聖堂。

展示会で見た絵がデジャブのように、一瞬で蘇ります。

大聖堂の周りを、中世の時を感じさせる街並みが囲みます。

寄り添うように傾いた建物に、、、

歴史の重みを表しているかのような、佇まいのドア。

ドアの向こうは中世だったら、何て楽しいかしら。笑

おしゃれなアンティークのお店や、レストランも多くて、今度はぜひここに1泊のんびりしたいです。

さて本日のお宿は、海沿いの街ドゥービル(Deauville)。

パリからも程近い高級リゾート地らしくおしゃれな雰囲気が漂います。

白い砂原に青い海。

向こう岸にあるトルーヴィル(Trouville)は海の幸の宝庫らしく、シーフードも満喫できました。

こんな夏らしい格好ができるのも、今年は最後かなぁ。。

さらに北上し、次の目的地は、エトルタ(Etretat)。

アラバスターコースト(The Alabaster Coast) という、高さ100m程の石灰岩の断崖が見られる街。

モネの絵で見た青空に映える白い崖の絵が美しく、家族へのお手紙用にもカードを購入。

そんな景色を楽しみに向かうも。。。

朝は晴れていたのに、午後にはこの様相。。

先程のドゥービルの写真が同じ日の午前中だとは思えません。笑

吹き荒れる嵐。

あぁ、私の人生崖っぷち、なんて言葉が頭をよぎる。笑

せめて笑顔で両手にピース。

時間も無くなってしまって、さすがに崖の上に登るのを断念。

フェリーで帰路に着いたのでした。

ナショナルギャラリーの展示会で見た、モネの絵の数々に感動したことで決めた今回の “モネの風景を辿る旅”。

モネが描いた光と色の世界を心に留めながら、実際の景色の中で感じたこと。

また、美術館という区切られた世界でモネの絵を見た時の視覚からの感動を、今度は旅という体験を通して、光、風、音、香りも含めた五感でその本物の場所を味わうことができたこと。

”印象派の絵画の”景色を実際に見たことの、何よりの素晴らしい収穫は、そこにあったような気がします。

そして前よりもモネの世界を身近に感じられたことが、とても嬉しいです。

もう一度絵をきちんと見て、学びを深めて、そしてまたこの地を再び訪ねてみたいと思います。

その時はまた新しい景色が見える気がします。

こんにちは!齊藤洋子です。

ロンドン在住のインテリアデザイナーです。

仕事、旅の思い出、海外生活の様子を綴っています。

趣味:

街歩き、お屋敷巡り、歴史探索、インテリア、アート、アンティーク、工芸品を見ること。 

座右の銘:

一期一会、温故知新、七転び八起き

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