地球の裏側から住まいづくり6)何を目指すのか?
ちょっとしたインテリアの模様替えから、新築やリノベーションという大規模な住まいづくりまで、何かをすると決まったら必ずするのが、この “コンセプト” 作りです。
“コンセプト”
言い換えれば、”目指す方向性” です。
コンセプトを実現させるように、様々なことを選んで決めていきます。
それは間取り、内装、設備などです。
せっかくなので、我が家の具体的なケースを元に見て頂ければと思います。
1)概要の確認
今回、家を大規模に直す、と決まった時に最初にしたのは
“どんな家”を工事するのか?と、誰が住むのか?の再確認。
工事といっても、一番最初の段階では、建て替え?スケルトンリノベーション?売って他に引っ越す?と様々な選択肢がありました。
そのお話は、 "地球の裏側から住まいづくり5)リノベ?住み替え?新築?" をご参照下さい。
築40年で現況の図面も残っていなかったため、建築家の方にまずは耐震診断と現況の図面作成をお願いしました。そして、多少の補強で大丈夫とわかったので、できるだけあるものを生かす、ということでスケルトンリノベーションにすると決まりました。
住む人についても、そのキャラクターやライフスタイルなど改めて見直しました。
そのお話は ”地球の裏側から住まいづくり2)住む家族と場所” をご参照下さい。
住む人と場所を明確にしたところで、そこでどのように暮らしたいか?どんな家にしたい?と、暮らしたい生活のシーンを想像してみるようにしました。
とは言え、それが結構難しいのです。
両親はつい“今の生活をベースにして、母は、“キッチンはねぇ、、、”といきなり枝から入ったりしてしまいます。
でも敢えて「ライフスタイルの見直し」という引いたところから考えてもらうようにしました。
新しい住まいになる時は、いろいろな理由や事情があると思いますが、いずれにせよ転機です。
自分たちのそれまで暮らしぶり、これからどう暮らしたいかを改めて、いろんな視点から考えてみるいい機会だと思ったのです。
自分達についてもう一度振り返り、型に当てはめず、いろいろな可能性を探りながら、自分たちのこれからの住まい方を考える。
少々突拍子もない意見だって大歓迎です。
うちの母は ”ジャングルのような家” ”田舎の農家のような家” と言い始めました。笑
さすがに都内の建坪10坪の狭小住宅なので、ジャングルや田舎の農家の家、は無理ですが、それらが意味するところを掘り下げることで、ヒントになることはたくさん得られます。
子供の頃に住んでいた家のことや、遠い昔に夢見ていたことを思い出したって、いいと思います。
自分たちに合わせてインテリアを作っていくんですから。
そんなとりとめのない意見たちを出し合い、まとめ(←これが大変)、新しい住まいへのリクエストを出しました。
もちろんリクエストの全てが叶う訳ではないですが、
最初に「どう暮らしたいか」を考えて、要望を思いつつままに書き出し優先順位を明確にすること、は大切なプロセスでした。この段階で出ないアイデアが後で叶うことはまずないのです。
コンセプト (目指す方向)
幾晩もの家族会議を得て、見えてきた我が家のコンセプトはこれでした。
両親が楽しく老後を過ごせる家
家の中で自然を感じられる家
過去の思い出を活かし、未来につなぐ家
巣立った家族も含め、ご近所さんや皆が集まる家
それを基本に、実際の建物の状況も考慮しつつ、さらに具体的なポイントに落とし込んでいきます。例えば、
日当たりと風通しのよい、開放感のある明るい家
元々ある古き良いものは、できるだけ使いたい (これがあったので、新築ではなく敢えてスケルトンリノベーションになりました)
基本生活空間を2階に、寝室を1階に持ってくる
使い慣れた手持ちの家具、ダイニングテーブルを持って行き、ダイニング中心の家
ペレットストーブをおく
趣味のパッチワークや大正琴をする、キッチンと繋がった空間を作る
趣味のパッチワークや、季節の花を飾るスペースを作る
などなど。
本、雑誌、ネットなどでいろいろな画像を集めて、それのどこかどう好きか?などをメモしておくのも、イメージを共有するのにとても役立ちました。ピンタレストは大活躍しました。
こんな基本的なこと、すでにイメージあるから大丈夫!という場合もあるでしょう。
でも、こうして具体的に言葉やイメージでアウトプットして、皆で再確認することも重要です。
自分の頭の中では明確で、“これ!” というイメージがありそうでも、実際にそれを言葉で説明するのは難しいです。また”こんな感じ”と思っていても、人によって思うことは違うのです。
なので、ここでイメージとして具体的に施主、デザイナー、建築家と関わる人々の間で確認して共有することで、明確なコンセプトを持って進んでいくことができると思うのです。
この先、間取り、照明計画、内装、とさらに考えていく中で、何度となくここに立ち返りました。
全ての選択に目的と意味があり、その根拠となるのがこのコンセプトでした。
次回からは、このコンセプトがどのように発展されていったかをご紹介します。
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