地球の裏側から住まいづくり11)空気感を創るインテリア
インテリアと言ったときに、話に上がりやすいのは、内装仕上げ材、家具、照明だったりします。
それらがコンセプトに沿って見事に融合した時に、部屋の空気感は変わると私は思います。
今回は、こだわった部分を中心にそんなインテリア選定、のポイントをご紹介したいと思います。
まず、コンセプトとしてあったのは自然素材です。
家の中にいても自然が感じられるもの、が要望でした。
それもあり、今回のリノベーションでは、
元々ある古材を生かす、というのがテーマでもあります。
元々の2階の天井裏にあった梁ををそのまま生かしてあります。
全体としては、木、土、火、水、紙、草 がポイントです。
木 :
フローリングはナラ材天然木で、敢えて節のあるものを選択。コーティングは柿渋エキス使用の天然塗料であるペルシモコート。今後のメンテナンス練習のために、私の帰国前夜に家族全員で夜な夜な塗装したのもいい思い出です。笑
その他、家中の特に壁面、天井面の飾りには杉板を使用。柔らかい雰囲気で手触りも良いです。
土:
タイルは海外生活で見慣れていることもあり、今回取り入れた素材です。
キッチン、1階洗面所、2階ストーブ背面に使用。様々なタイルのショールームに足繁く通い、選び抜いたタイルたち。素敵なアクセントになっています。
1階洗面所のタイル
火:
当初より母が入れたいと言っていたペレットストーブ。
ペレットという木屑の固形燃料を使うストーブで、二酸化炭素の発生量が少ないそうです。
青梅のショールームまで家族で足を伸ばして、ストーブとペレット製造工場を見学したのがいい思い出です。
途中、サイズの関係上入れられなくなるかも!?という事態もありましたが、コーナーに設置することで解決。2階に上がるとすぐ目に入る場所にフォーカルポイントとして設置。
やはり火の揺らぎは、暖かく見ていても和みます。この前にはロッキングチェアを置く予定です。
水:
水色は、母の好きな色です。今回初めて知りました。笑
キッチンは白いキャビネットにし、ブルーグレーを含むタイルで彩りを添えました。
ランダムなように見える3色ですが、ランダムな感じを意識的に作成。それが意外と難しい!笑
2階トイレは、他の部屋とは雰囲気の違う空間にしよう、とこの家唯一の輸入品(壁紙)を採用。
ドアの色もブルーにして合わせて、少しユニークにしました。
紙:
メインの壁面仕上げ材に和紙壁紙を、
1階寝室のアクセント壁紙(左側)には京都和紙来歩さんの越前手漉き和紙を採用。
伝統素材ながら、新しい表情を見せてくれています。
和紙来歩ウェブサイトはこちら
草:
3畳程の畳コーナーに、熊本産い草の畳を使用。母の長くの友人が近所で畳屋さんをしていたこともあり、そちらでお願いしました。数多くの畳縁より色や模様もコーディネートして選びました。
とてもいい香りがして、思わず寝転がりたくなります。
それと、照明については今回はダウンラインとが主になりましたが、ひとつダイニングテーブルの上にペンダントライトを入れました。(写真はまだダイニングテーブルが入る前ですが)
これは、敢えて長さを変えた多灯ペンダントにしました。
ダイニングテーブルはこの家のコミュニケーションの場所です。それぞれの個性を持つ家族が集まりここで生まれる楽しい時間。そのシンボルとしてこのペンダントを選びました。
元々の母の希望は、ジャングルのような、土間のある家でした。
都内狭小住宅では無理な要望です。
でも、ジャングルに、土間に何を求めているのかを考えました。
そのままを形にできなくても、そこから要素を汲み出すことで、真に叶えたい部分を取り入れることは可能だと思います。
自然素材は本物で、時と共に成熟し、味わいが増します。
特にイギリスに暮らす身として、それは日々感じることです。
日本では築40年の家は古く、建て替えの対象かもしれません。
でもイギリスでは、まだ新しい家の部類に入ります。普通に築数百年の家が使われているからです。
古い素材を活かすのもまた上手です。
新しい空間に見事に馴染ませて、古臭さなど微塵もなく新しい表情を見せてくれます。古材はreclaimed (リクレイムド)と言ってアンティークマーケットでもよく見かけますが、新品より高いです。時を重ねて得た味わいはお金で買えないので当然とも思いますが。
インテリアは、その空間の空気を変え、五感に響くものだと思います。
一つ一つ吟味したこだわりの素材を身に纏い、時を重ねていくこの家の成熟が楽しみです。
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